高齢化、人口減少、社会保険料の増加、物価高騰…。手取りが少ない若年層にとって、負担は増え続ける一方だ。
これからの時代、Z世代が生き抜くために必要なスキルは”稼ぐ力”。
今回は、過去の常識に囚われない収入戦略と、今日から実践できる3つのことをお話ししていきたい。
稼ぐ手段は一つじゃない
稼ぎ方や生き方の多様化
インターネットやSNSが発達した現代において、稼ぎ方は単一ではない。
会社に出社して働くタイプの人間もいれば、起業やフリーランスという選択肢もある。株や不動産の資産収入で生きている人もいれば、副業を駆使して収入を複数限持つ人もいる。
近年ではFIRE(早期退職)に注目が集まり、若いうちに稼ぎきって経済的自由を勝ち取ろうとする生き方がブームになった。
限られた時間の中で「自分らしく生きる」ことが重視されるようになった証左でもある。

Z世代は「コスパ」「タイパ」といった価値観を重視する人が多いね!
特に、デジタルネイティブである若い世代は、こうした価値観を自然と受け入れ実践していく傾向にあるため、「合理的に稼ぐ」ことへのポテンシャルは非常に高いといえる。
筆者は、こうした柔軟な生き方・稼ぎ方が推奨される社会に対して、好意的に捉えている。過去の常識にとらわれず自分軸で考えれば、限られた時間・資源の中で効率よく収入を得ることができ、ひいては幸福を享受できるからだ。
今回筆者が提案する”新しい”稼ぎ方は、まさにこうした価値観を反映しつつ、従来の「安定」を得る「いいとこ取り」を目指したものだ。しかも再現性があり、だれでも取り組むことができる。
手遅れになる前に
高度経済成長期の経済・雇用形態を前提とした「日本型雇用システム」は形骸化しつつある。
【日本型雇用システム】
- 年功序列
- 終身雇用
- 新卒一括採用
- 副業の禁止
上記に加え、今後、解雇規制が緩和する方向に動くことはほぼ確実といえる。(すなわち労働者の立場は弱くなる)
社会的にも法的にも守られているはずの労働者の立場は、日本型雇用システムの瓦解により、過去のものとなるだろう。こうなってくると、いよいよ正社員(会社員)としてその地位に安泰して働き続けることは”負のリスク”とさえいえる。

正社員って一番安心なイメージがあったけど、もう過去の話…
「正社員として働きなさい」「公務員でなければいけない」。こんなことを幼少期から叩き込まれていれば、さも正解かのように感じてしまう。
しかし、時代の変遷とともに旧来的価値観は現代に通用しなくなりつつあり、変化についていけなければ、自分自身が淘汰される存在になりかねない。これからの時代に大切なのは、安定を基本としつつ収入の上振れを狙う「リスク分散型」の収入戦略だ。
トリプルインカム戦略
そのフレームとして筆者が提示するのは「トリプルインカム戦略」である。安定を確保しつつも、適度にリスクを取りリターンを狙う、リスク分散型の収入戦略だ。
【トリプルインカム戦略】
- 本業による収入(安定を確保)
- 副業による収入(リターンを狙う)
- 不動産・株などの資産収入(リターンを狙う)
日本人の多くは極端にリスクをとりたがらず、やたらと安定を求める。しかし、こうした安定至上主義は、残念ながら機会損失でしかない。
若いうちであれば、多少の失敗は時間やスキルアップで解決できるもの。むしろ、リスクを取らずして若いうちを終えてしまうことこそ、取り返しがつかなくなる恐れがある。
本業以外にも収入源を持つこと
収入は一箇所からもらうのが当然?そんな常識は一旦捨ててみよう。一箇所に依存していては、業績や会社の存続次第で、自分の収入上限が決まってしまう。
さらには、職場における人間関係の悪化や人事で、続けたくても続けられないということも。現代において、会社1社に依存することはとにかく「危険」だ。
もちろん「労働法上では正社員の立場は強い」という反論もあるだろう。しかし、その会社が10年後も経営面で健全かどうかは別問題だ。人員削減や会社の存続自体が危うくなる可能性だってある。
これらの要素は、自分ではどうにもできないからこそ、収入を複数掛け持ちすることがリスク分散になるのである。
労働収入から資産収入へ
「辞めたい仕事を辞められない」「体調を崩し、働きたくても働けない」
自分の意思に関わらず、こうした状態はいつ訪れるかわからない。そのような時、会社に収入を依存していることがどれほど危険かは前述のとおりだ。
兼業や副業に取り組みつつも、将来的には自身の収入に占める割合を「労働収入」から「資産収入」に移転させていく必要がある。すなわち、労働者として働き続けるのは一時的なものと割り切り、将来的には株式や不動産といった資産収入をメインの収入源にする。
フランスの経済学者トマ・ピケティは「r>g(労働で得られる収益より資産から得られる収益の方が大きい)」を説いた。自分が資産家になることで、株式や不動産市場の上昇により、自らが労働者として働くよりも効率的に資産を増やすことができると論じたのである。
貧乏人は貧困から抜け出せず、富裕層がますますお金持ちになるのは、株や不動産によって「資産が資産を増やす」状況を作り出しているから。マンパワーには限界がある以上、自分の「資産」にも働いてもらい、合理的に収入を得ることを目指していきたい。
スキルの高度化
「シンギュラリティ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「AI(人工知能)が人間の能力を超える」とされる時を指す。
技術の進歩は暮らしが便利になる一方で、人間の仕事がAIに代替されていく未来も近い。今は当たり前にある職業も、ここ数十年でなくなるかもしれない。
そのような未来で、これからの人間に求められるのは「AIには代替できない付加価値を生み出す」ことに尽きるだろう。
筆者は以前、今後のAIと人間の関係を「大企業と中小企業」に例えた。
大企業は、安価で、ある程度の品質のモノを大量生産することで、幅広いのニーズを拾う。一方、中小企業はニッチな分野を開拓し、高単価な付加価値を生み出すことで生き残りを図る。薄利多売の市場に中小が参入しても、競争優位性は無いからだ。
これらの関係は、10年後のAIと人間の関係にも同様のことが言えるだろう。
AIは幅広いニーズを充すものを作り、ほとんどの人間は真正面から戦っても勝つことはできない。成功する人間は、AIでは不可能な技術力や発想によって「特化型」で仕事を取っていく。
こうした未来が近いからこそ、今からスキルアップをすることは欠かせない。今の地位に安泰し続けていれば、5年後・10年後には手遅れになってしまう。まさに今、Z世代は岐路に立たされているといえるだろう。
今すぐやるべきこと3選
では、トリプルインカム戦略を実践する上で、今から取りかかるべきことは何だろうか。3つに絞ってお話ししよう。
成長が期待できる資産へ移転すべし
最初に始めるべきは、株式や不動産、暗号資産など今後成長が期待できる分野に、資産を早期に移転させることだ。
ここで大切なのは「できる限り早く」という点。現金はこれからのインフレ時代に「何もしなければ価値が落ちていく」からだ。
自身のリスク許容度に応じて「リスク資産」を保有することが、これからの時代を優位に生きるためには必須である。
収入源を増やすべし
トリプルインカム戦略では、収入を「一カ所に依存しない」ことが重要だ。前述の資産収入に加えて、副業をしながらスキルアップをしていきたい。
副業は、収入が青天井のものだと良いだろう。最初は稼げないかもしれないが、今のうちからタネを蒔いておけば、将来的には成果の分だけまるまる報酬を受け取ることができる。
副業は目先の利益だけでなく、自身の理想の生き方を踏まえて、中長期的な視点で取り組むことだ。
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自己投資すべし
多くの仕事がAIにとって置き換わる時代。自分という人間が、どれだけの付加価値を生み出せるかが重要だ。
資格を取るもよし、ニッチな領域を極めるもよし。AIでは代替しづらい分野を尖らせることが必要となるだろう。もちろん、自己投資の分野と副業の分野が重複するなら、なお良い。
「そんなので稼げるの?」という周りの声はあまり気にしなくていいだろう。むしろ、そうしたニッチな分野を収益化できれば、先行者利益を狙うこともできる。
日本人はなぜか周りと同じことをしたがるが、周囲の人間と同じことをし続ける限り、自分という存在の「価値」は埋没してしまう。今やるべきことをきちんと把握し、行動と継続をできる人だけが、生き残れる時代に差し掛かっている。
まとめ
今回は、Z世代が生き残るための収入戦略について取り上げた。
「トリプルインカム戦略」は、安定を確保しつつも、適度にリスクを取りリターンを狙うリスク分散型の稼ぎ方だ。
- 本業による収入(安定を確保)
- 副業による収入(リターンを狙う)
- 不動産・株などの資産収入(リターンを狙う)
過去の常識にとらわれず、限られた資源と時間を最大限活かし、自分らしく生きるための行動を起こしてみてはいかがだろうか。