良くも悪くも何かと話題に上がる「タワーマンション」。
タワマンに憧れを持つ人も多く、物件価格は上がり続ける一方で、「タワマンは廃墟化する!」「今年こそは暴落する」と、真っ向から否定するコンテンツにもビューが集まる。
今回は、そんなヒートアップしがちなテーマを、冷静に分析してみたい。
他のサイトで列挙されがちなタワマンの”デメリット”を、第三者的視点から見てみないか。
一旦、冷静になろうぜ
タワマンをテーマにすると、必ずと言っていいほど「肯定派」と「否定派」が争っているのを目にする。
例えばYouTubeで「タワマン」と検索をすると、”成功者の生活”を見せつけるようなコンテンツが溢れている一方、「タワマンは後悔するから絶対やめとけ!」といった、過激なサムネイルも目に飛び込んでくる。
憧れや成功者の象徴であると同時に、嫉妬の対象や議論の的にもなりがちで、ネット上は”カオス”な状態になっている。
資産性・眺望・権威性が期待できるはずのタワマンに、一体何が起こっているのか。
巷で騒がれているタワマンの”デメリット”を、一つひとつ見ていきたい。
タワマンのデメリットの”正しい”理解
まずは、不動産サイトなどでも掲載されている”一般論的な”デメリットを列挙していこう。
一般論的デメリット
①エレベーター待ちが長い
②災害時は階段で上り下りをする必要がある
③洗濯物が外に干せない
④管理費・修繕積立金が高い
⑤投資目的の所有者が多い
⑥高層階は携帯回線が繋がりにくい
⑦タワマンカースト
⑧タワマンの間取りが苦手
⑨健康被害
”デメリット”の分析
では、上記で語られるデメリットは、本当に「タワマン固有」のデメリットなのだろうか。
タワマンのメリットを上回るほどのデメリットが存在するのか、一つひとつ検証してみよう。
①エレベーター待ちが長い
→デメリットにはなり得るが、駅遠物件も同列に比較すべき
縦に移動をする必要があるタワマンでは、必然的にエレベーター待ちが発生する。
特に、通勤・通学時間帯は混雑をすることから、ストレスになるとも言われる。
これについては、確かにデメリットにはなり得るものの、やや偏った見方にも思える。
というのも、”タワマン固有”のデメリットになるのかという視点で言えば、駅遠物件にも同様のことが言えるからだ。
例えば、エレベーター待ちで10分かかると仮定すれば、それは徒歩10分の距離感の物件と同列に扱わなければおかしな話だ。
駅直結タワマン(エレベーター待ち10分)と、駅徒歩15分のマンション(1階)を比べれば、タワマンの方が時間としては5分も有利になる。
エレベーター待ちばかりを”ことさら”強調するのは、あまりフェアな見方とは言えないのではないか。
②災害時は階段で上り下りをする必要がある
→むしろ災害に強い側面もある
地震や停電が発生した際、エレベーターが停止してしまうと、階段での移動を余儀なくされる。
特に、断水が発生した場合には、階段で水を運ぶ必要があるため、高層階ほど負担が大きいとも言われている。
しかし、筆者は災害面においては、むしろタワマンは「有利」だと考えている。
確かに、上層階まで水を運ぶのは相当な根気がいるが、「こうした予見ができる方」であれば、あらかじめ水を多めに備蓄しておくなど、断水時の対策は既にできているはずだ。
また、水害面でいえば一戸建てや低層マンションよりも有利であり、地震や土砂崩れで倒壊する心配もない。
唯一気がかりなのは火災だろうが、日本では建築基準法や消防法が厳しく、高層になるほど消火設備も厳格に設置される。
この点、むしろ「木造一戸建て住宅」の方が問題で、東京都でいえば山手線外周部の”木密地域”のようなエリアを警戒する方が先だろう。
厳しい耐火基準が敷かれ、地震や水害にもに強いタワマンは、実は災害面では「安全」ともいえるのだ。
③洗濯物が外に干せない
→デメリットになる
規約上、洗濯物を干してはいけないとされるタワマンも多い。
普段は洗濯機や浴室の乾燥機能を使うとしても、布団などの大きなものについては天日干しができないと不便が生じる。
また、乾燥にかかる電気代を見過ごすこともできない。
この点では、確かにデメリットになる。
得られるメリットと天秤にかけ、どちらを重視するか自分の中での判断が求められる。
④管理費・修繕積立金が高い
→資産性を考えよ
共用部分や設備が豪華な反面、管理費は通常のマンションよりも高い傾向にある。
セキュリティや、コンシェルジュサービス、充実した管理には維持費がかかる。
さらに、修繕積立金についても、通常のマンションよりも割高な傾向にある。
このように、月々のランニングコストが、通常のマンションに比べて高いというデメリットには注意が必要だろう。
一方で、タワマンには需要があるため、資産性が維持されやすい側面もある。
そうなると、ランニングコストは多少高くとも、売却時に元が取れてしまうケースもある。
売却時まで含めた「トータルコスト」で考えれば、多少背伸びをしてでもタワマンを購入した方がお得なケースも含めて考えるべきだろう。
⑤投資目的の所有者が多い
→投機対象となる物件を避けよ
都心や湾岸タワーマンションで問題になりがちなのが、外国人投資家が部屋を購入し、空き家になっているパターンだ。
誰も住んでいない・誰が住んでいるかわからないという状態では、セキュリティ上も問題があり、近隣住民からしても気分はよくないだろう。
ただし、この点に関して言えば、過度に投機対象となり得る物件さえ避けることさえできれば、ある程度回避は可能だ。
一時期話題となった「晴海フラッグ」ではこうした問題が浮き彫りになったが、家を買うだけでなく「街を買う」と言う視点を持ち、住んでからの自分の生活をイメージすることが大切になる。
最も危険なのは、こうした理由でタワマンを諦め、資産性に期待できない物件を購入してしまうことだ。
特に、郊外の買い手がつかないような物件では、「隣人ガチャ」に失敗した際の逃げ道がないため、よほど資産がある方や一生住み続ける覚悟がある方でなければ避けた方が良いかもしれない。
⑥高層階は携帯電話の回線が繋がりにくい
→内見時に要確認
高層階になると、キャリア回線によっては電波が届きにくい場合もある。
これに関しては、内見時にしっかりと確認をしておくことが大切だ。
繋がりにくい場合は、回線の切り替えが必要になることも想定しておこう。
⑦タワマンカースト
→真偽不明(?)
高層階に住む人が低層階に住む人を見下している、同じ学区のママ達の「高層階マウント」があると言う話がある。
これに関しては、実際に住んでみないとわからないものの、購入前にマンションの評判を見ておくことで対策をするとよい。
特に、タワマンのような大規模マンションでは、住民の口コミも充実していることが多いため、物件のレビューサイトを参考にしてほしい。
また、内見時に止まっている車の車種・住民の雰囲気・共用部の管理の状態などをよく見ておくことが必要だ。
⑧タワマンの間取りが苦手
→タワマンは避けるべき
タワマン特有の間取りが苦手な方もいるはずだ。
構造上やむを得ないのだが、「ロ」の字型に住戸が配置される関係で、柱の出方が通常のマンションとは異なる。
こだわりの間取りがある方には、タワマンは向かない可能性が高い。
⑨健康被害
→真偽不明(?)
もはや”都市伝説”レベルの話なので、あまり真に受ける必要はないが、高層階の健康被害を主張する人がいる。
「高層階病」ともいわれ、気圧や揺れの関係で、健康被害が出ると言う噂がある。
科学的根拠が示されたわけではないが、気になる方はタワマンの”低〜中層階”に住むという選択もある。
お金があるなら絶対にタワマンを買うべき理由
このように一般的にデメリットと言われているものについても、真偽が不明であったり、必ずしも正確でない情報が混在しているので注意が必要だ。
これらを踏まえた上で、タワマンのメリットを見てみよう。
<タワマンのメリット>
①眺望がよい
②資産性を維持できる(売却しやすい)
③セキュリティが高い
④各階にゴミ置き場ある場合が多い
⑤共用部が豪華・コンシェルジュサービスがある
⑥水害・地震に強い
⑦虫が発生しにくい
⑧タワマンに住んでいるというステータス
こうした、普通のマンションや戸建てでは得られにくいメリットを、タワマンでは享受することができる。
特に「資産性の高さ」はメリットで、いざという時に売却しやすい点は、将来の選択肢を広げることにもなる。
今後、縮小が見込まれる日本経済では、利便性や資産性を求めて「需要の高まるタワマン」と「需要のない郊外物件」でますます二極化が進むと考えられている。
よほどタワマンに抵抗があるならば別として、満足度・将来性・資産性を踏まえれば、「とりあえずタワマン」と言う選択は”堅実”といえるだろう。
タワマンがオワコン化する時
一部の人々が「廃墟化する」と騒ぐタワーマンション。
では、タワマンが本当に「廃墟化」する時は来るのだろうか。
ここまで述べてきたように、現時点で危険性が最も高いのは「郊外」「駅遠」「普通」の物件だ。
少なくとも現時点では、タワマンの需要が減退する要因は見当たらず、まだまだ価格の維持には期待ができる。
少なくとも、こうして「タワマン論争」が話題に上がっているうちは安泰だろう。
大きな買い物だからこそ、一部の極端な意見に流されず、後悔のない選択をしてほしい。