真面目は損?4つの「思考タイプ」と疲れないためのトリセツ

もくもくのつぶやき

真面目にやっていれば、いつかは報われる?

そう思って真面目を貫いてきたけれど、なかなか報われない。

世の中には、「真面目は損をしている」と失望している人がごまんといるはずだ。

なにも筆者自身も完璧主義で、人の言うことを聞いてしまいがちな性格だからこそ、その思いはよく理解できる。

人一倍疲れが溜まるのにもかかわらず、誰からも評価をされず、なにかと嫌になってしまう。

そこで、今回は真面目な人の「思考パターン」についてタイプ別に検討し、それを踏まえて、疲れないための「自分との向き合い方」について考えていきたい。

そもそも「真面目」って何?

「あの人は真面目だよね」「もうちょっと真面目に考えてよ!」

家族や学校の先生、友人との会話において「真面目」という言葉は日常的に使われる。

しかし、そもそも真面目の定義って何なのだろうか。

いい意味で使われることもあれば、「アイツはちょっと真面目過ぎてなぁ…」とネガティブ的に使われることもある。

真面目と言われてイメージするのは、「言われたことを言われた通りに素直にやる」ことや「いい加減なところがない」といったところだろうか。

「真面目」を辞書で調べてみたところ、二つの定義があった。

1 うそやいいかげんなところがなく、真剣であること。本気であること。また、そのさま。「真面目な顔」「真面目に話をする」

2 真心のあること。誠実であること。また、そのさま。「真面目な人柄」「真面目に暮らす」

https://kotobank.jp/word/真面目-539116#goog_rewarded

この定義だけを見ると、周りの人からの信頼を得るべく、目の前のことに一生懸命な”いい人”だ。

真面目な行動が評価され、会社での昇格・昇給や、友人・先輩からの評判アップ、部下や取引先からの信頼度向上など、自分にとってもプラスに働くことがある。

また、自分が”いい人”を貫くことで自己肯定感が高まり、他人に対しても罪悪感なく主義・主張をいえるようになる。

このように、真面目はプラスの面で働くことも多く、なにより巡り巡って「他者からの信頼」という形で自分に返ってくる

ただし、真面目は必ずしも肯定的な面だけにとどまらない。

真面目であるが故に自ら深みへハマっていき、「自分で自分を苦しめる」思考に陥ってしまう”弱み”を併せ持つ。

精神的に病んでしまう人に真面目な人が多いのは、物事をいい加減に処理することができないため、自分で自分を追い詰めてしまうのだ。

真面目で信頼されると、さらに人から仕事を頼まれるようになり、いっぱいいっぱいになってしまう(しかし断るわけにもいかない…)。

こんな「負のループ」を打開するためには、どうしたらよいのだろうか。

ここからは、真面目な性格はどうやって形成されたきたのか、振り返ってみるところからはじめてみたい。

小さな”成功体験”が真面目を作る

真面目な人はどのようにして真面目になるのか?

ここでは、その”起源”をたどってみたい。

まず、当然ではあるが「本人の性格や価値観」が、与える要素としては大きいだろう。

例えば、責任感・正義感・完璧主義といった性格や、本人なりの「こだわり」が強い場合だ。

この場合、自分で自分を変えようと思っても、本人の意思で変えることはなかなか難しい。

というのも、こうした考えを曲げてしまえば、これまでの自分の行動さえも否定することになりかねないからだ。

性格や価値観は、これまでの人生において蓄積された自分の歴史そのものであり、変えたいと思いながらも、自らの意思でそれを覆すことは容易ではないのである。

また、それに加え「家庭環境」も、真面目を形成する要因となり得る。

例えば、両親が安定した社会生活を好む場合、両親が実践する「安定こそ優れている」という価値観を目の当たりにする。

「正社員で結婚をし、子どもができ、マイホームを購入し…」といった定型ルートが当たり前という価値観を悪気なく植え付けさせられ、子どもの真面目な性格・価値観は必然的に形成されやすい環境にあるといえる。

逆に、自由な親のもとで育った場合(例えば親が起業家である場合)には、自分自身がどうしたいかという意思を最も重要視し、子ども自らもそうした行動を取りにいく傾向がある。

(これは、あくまで筆者の体験ベースなので、統計的にそういうデータが示されたわけではない。)

このように、真面目を形成する要因として、性格や価値観、家庭環境といった自らの周辺で起こることへの影響を強く受けることがわかる。

さらに筆者は、これら要因に加え(もっと広範に)日本の教育環境も要因の一つとなっていると考える。

日本の教育環境においては、「詰め込み教育」を疑うことをせず、生徒には「先生の言うことが絶対」という価値観を不変のものとして植え付ける。

このことにより、自分の意思で柔軟に考える力を失い、自分自身が「ただ言われたことをやるだけのロボット」となることに疑いを持たない人格が形成される。

人によっては、誰かに指示をされている状況下こそが「安心できる拠り所」そのものとなってしまうケースもある。

結果として、日本は国際競争力では他国に劣後し、自分の意思で自分のあり方について考える力を根本から失ってしまった。

ただし、ここで述べたいのは、日本の教育制度や家庭環境への不満ではない。

筆者が述べたいのは、真面目が生み出される共通要因として抽出できるのは、本人にとっての”小さな成功体験”が積み重なったことであるということだ。

「先生の言う通りにできれば褒められるし、先生の言う通りにできなければ怒られる。」

「親の期待に応えられれば喜んでもらえるし、期待はずれだとガッカリされる。」

家庭環境・学校・友人関係といった狭い部分社会において、自分が他者から「評価されたこと」が自分の中での「成功体験」として蓄積していき、従順でお利口な人格が形成されていくのだ

真面目の「思考タイプ」4選と思考の変換方法

ここまでの話から、筆者は「真面目」を否定的に捉えていると思われるかもしれない。

しかし、筆者は、真面目という人格や性格を否定するつもりは、一切ない。

ただ、”真面目でいい人”でありつづけることが、自分にとってマイナスに働くかもしれないということを予め認識しておけば、心構えができる

「真面目」の中でも自分がどういうタイプなのかを把握し、前述の「負のループ」に陥った時には、自分自身で思考を変換させていくことが、肉体的・精神的安定にとって重要となってくるのである。

ここからは、それぞれの「思考パターン」と「思考の変換方法」についてタイプごとに考えていきたい。

タイプ1:みんなのいうことを聞いてしまう”聖徳太子型”

”聖徳太子型”とは

まずは、みんなの言うことを何でも聞いてしまうタイプだ。

このタイプでは、Aさん・Bさん・Cさんからお願い事をされた時、時間内に終わらないにも関わらず、全てに承諾をしてしまう。

そして、AさんとCさんのお願い事で矛盾点が生じた時、自分自身が板挟みになり苦しい状況に置かれてしまうことも多いだろう。

また、5人の意見のうち1つを採用すればよいところ、必要がないのに5人中5人の意見を全て採用してしまい、自分で背負いきれなくなってしまうパターンだ。

このタイプでは、多くの人から”いい人”との評価を得ることができるものの、本来であればやらなくてもよいことや後始末までやらざるを得なくなってしまう。

人の意見を否定することや反対することが苦手で、何でもかんでも抱え込んでしまいがちだ。

”聖徳太子型”な自分との向き合い方

このタイプは、周りの人に助けを求めることで、対処できる可能性がある。

例えば、判断に迷う場合、一度「私には判断する権限がないので、上司に判断してもらいます」と回答を先延ばしにし、責任自体を委譲する方法が効果的だ。

また、判断権限が自分にある場合には、「今立て込んでしまっているので、ちょっと待ってください」と回答を伸ばすことで、受託量を平準化させよう。

タイプ2:規定やマナーを厳格に守る”ルール徹底型”

”ルール徹底型”とは

次に、国や社会のルール、マナーといった社会規範を厳格に守り、それを人にも守らせる「ルール徹底型」だ。

自分自身は社会規範を守っているという「プライド」があり、それを守らない人を嫌う。

確かに、ルールを守ること自体はよいことかもしれないし、それは自分自身の行動を「正当化」することにもつながる。

しかし、このことが、自分自身の首を絞めていることに気づかない状態もあるだろう。

意見交換の場においては折り合いをつけることが苦手で、他者との関係がうまくいかない・正義が通らないという不満が溜まることにもなる。

”ルール徹底型”な自分との向き合い方

まずは、ルールを守ること、マナーを守ることが徹底できる自分は偉いと褒めてあげてほしい。

その上で、世の中は必ずしも正義が通る社会ではないという「現実」もちょっとずつ受け入れてみることだ。

「ルールだから」と意固地にならず、「世の中そんなモノだ」とある程度流せることも、心のゆとりにつながる。

自分の正義が他者に通るとは限らない、と一歩引いてみる「第二の視点」を作ってみることが大切だ。

タイプ3:権利主張が苦手な”権利の上に眠る型”

”権利の上に眠る型”とは

これは、日本人に多いタイプだが、自らの権利の主張を苦手とするタイプだ。

例えば、貸した物を返せと言えない、残業をしたにもかかわらず残業代の申請ができないといったタイプはこれに該当するだろう。

権利を主張することは正当な行為であるが、「自分が権利を主張することで、周りとの関係に波風を立てる」と考えてしまう。

結局は「いいように利用される」だけではあるが、自分の意思を伝えることが苦手なタイプで、自分は損をしていると感じることも多いだろう。

”権利の上に眠る型”な自分との向き合い方

このタイプでは、「まず、譲れない部分だけでも主張すること」を心がけてみることから始めてみるとよい。

まずは、言いたいことの1割でもいいから相手に理解をしてもらい、徐々に自分と相手のマインドを変えていくところからはじめてみよう。

「貸したまま返ってこないものがある」のであれば、話の合間に「〇〇って返していただけましたっけ?」とやんわり伝えてみるとよい。

また、「サブリミナル効果」を活用する方法もある。

言いたいことを要所要所に散りばめて、相手の潜在意識に刷り込ませていく方法だ。

回りくどいと思うかもしれないが、色々と布石を打っておくことで、後々権利を主張しやすくなるはずだ。

泣き寝入りはやめて、まずは譲れない部分から、相手にちょっとずつ自分の意見を刷り込ませていこう。

タイプ4:他者との差別化を求めてしまう”高得点型”

”高得点型”とは

次は、周りの人以上に高いクオリティを求めてしまったり、100点満点で良いところに150点を突き詰めてしまうタイプだ。

正義感が強く、自分の納得がいくまで自ら仕事を増やしてしまう人もいるだろう。

「周りはそこまで求めていない」ということを理解しながらも、ついつい作り込み過ぎてしまう。

これにより、職場で自分が貢献しているという自己肯定感を満たすことができるし、場合によっては人から感謝されることや評価されることもある。

一方、これが自分を疲れさせる要因にもなり得る。

やりがいや人からの感謝、自分への納得を求めるがあまり、自分の体力や労力を犠牲にせざるを得ない。

何事も突き詰めればキリがないわけで、どこかで諦めは必要になることも併せて理解しておく必要がある。

”高得点型”な自分との向き合い方

このタイプにおいては、「割り切り」が苦手な傾向がある。

求められたこと以上のことをやることで「やりがいが得られる」と考えてしまうことから、まずはちょっとずつ「割り切り」を覚えるところから始めてみるとよいだろう。

「求められていないことをわざわざやらない」という自分の中での事例をちょっとずつ増やし、自分のキャパシティを超える仕事を減らしていくことで、心にも余裕が生まれるはずだ。

まずは、100点満点を80点で終えるという習慣をつけてみてもよいかもしれない。

周りからの期待値が高いと自分自身のハードルが上がってしまうので、ハードル自体を上げないことが大切だ。

単なる「お利口さん」にならないために

今回は、真面目な人の思考パターンと、自分自身との向き合い方を探ってみた。

総じて言えることは、真面目は悪いことではない。しかし、真面目は必ずしも良い面だけではないから、どんな場面でも貫く必要はないよということ。

ポイントを押さえて要領よくできれば、「周りからの信頼を得つつ、自分自身も楽になる」ことができる。

それでもやはり、簡単には性格は変えられないって?

それであれば、筆者は「最初の頃は100%の力を発揮し、真面目な人というイメージを作りつつ、徐々に手を抜いていく」ことを推奨したい。

最初は全力投球をし、何となく全体像が掴めてきたら、優先順位の低いものから順に削り落としていくイメージだ。

イメージ戦略で自己ブランディングをしつつ、最小限の労力で「真面目ブランド」を勝ち取ろうじゃないか。