AI時代にZ世代が生き残るための”必須条件”とは?〜シンギュラリティに備えて〜

もくもくのつぶやき

2022年11月、アメリカのOpenAIが人工知能チャットボット「ChatGPT」を公開し、世界中の人々を驚かせた。

AI(人工知能)の進歩により、私たちの生活がより便利になる一方で、産業構造や一人ひとりの働き方までをも変えてしまうのではないかという懸念もでてきた。

シンギュラリティ(AIが人間の知能を超える転換点)を迎える時、生き残りの明暗を分けるものは何だろうか?

今回は、迫り来るAI時代に向けて、Z世代が生き残るための”必須条件”を探ってみたい。

AIの普及がZ世代に与える影響

2015年、野村総合研究所が実施した調査によれば、10〜20年以内に日本の労働人口の49%がAIやロボットで代替可能になることを示した。

世の中の約半分の仕事が無くなる未来が、すぐそこまで迫ってきている事実には驚かされるばかりだ。

具体例を挙げると、以下の仕事が人間からAI・ロボットに置き換わると言われている。

<今後AI・ロボットに置き換わるとされる仕事>
・総合事務・一般事務従事者
・スーパー・コンビニ店員
・電車・バス・タクシー運転手
・接客・受付業務
・銀行員
・警備員
・ビル清掃員
・倉庫作業・ピッキング作業
・コールセンター
・ライター

実際、すでにスーパーやコンビニでは無人レジが普及しつつあるし、電車の自動運転を実現している路線もある。

レストランにおいてもタブレットで注文し、ロボットが運んでくるのも日常の光景となった。

「人間の方が正確で丁寧」「AIやロボットに任せるのは怖い」

そんな考え方は、いにしえのものとなりつつある。

現在は産業構造の大転換にさしかかっている段階ともいえ、当然、今後の私たちの働き方にも大きな影響を与えることになるだろう。

AI時代に向けて今からできること

では、これらの社会的変化に対して、私たち個人が今からできることは何だろうか?

大きく分けて、2つあると考えられる。

① 常にアンテナを張っておくこと
② 人間にしかできない”強み”を活かすこと

第一に、技術の進歩や社会情勢に対して、「アンテナを張り続ける」ことだ。

AIの進化やそれに伴う社会の変化を、一人ひとりが阻止することは不可能だ。

そうである以上、嫌でも社会的な変化というのは受け止めざるを得ない。

しかし、そうした変化にいち早く気づくことができれば、自らの方向性を変える猶予ができる。

今後の自らのキャリアプランを考える上では、収集した最新の情報をもとに、”長期的視点で考える”ことが一層重要となってくるだろう。

第二に、これまで「常識」とされてきた考え方を捨て、人間にしかできない”強み”を活かすスキル・経験を磨くことだ。

例えば、AIに代替されづらい業界・業種において「特化」する方法が挙げられる。

(野村総合研究所は、AIに代替されにくい職業の特徴として、「創造的思考」「ソーシャル・インテリジェンス」「非定型」の3つを挙げている。)

一方、AIを積極的に活用しつつ、相乗効果を狙う方向性も考えられる。

例えば、事務作業はAIに任せた上で、人間にしか対処できない臨機応変な対応については自らが指揮する「分業制」が想定される。

また、コミュニケーション能力を磨くことで、AIが苦手とする「人の感情に訴えかける」営業スキルを高めることも一つだ。

いずれにせよ、私たちはAI社会への変容を受け入れざるを得ず、それに向けて自分の”強み”を伸ばしておく必要がある

忘れてはならないのは、社会の変化や価値観の変容に乗り遅れた人間・企業は淘汰されるという「資本主義の摂理」だ。

現状維持を望む「保守的」な行動よりも、強みを先鋭化させる「攻撃型」へ転換することは必須となろう。

”Xデー”に備えて

これから先、Z世代には厳しい環境が待ち受けているとはいうものの、筆者は未来に希望がないわけではないと考えている。

幸いにも、人手不足に直面している今の若者には、働き口がたくさんある。

2025年大学卒業の有効求人倍率は1.75倍で、初任給の引き上げも継続している。

そのような環境であれば、しばらくは安定して勤めつつ、自分の強みを極める猶予だってある。

また、正社員として雇われているのであれば、法的に強い立場であることを活かして、適度に有給休暇やボーナスを取得しつつ、スキルアップに努めることもできる。

今であれば、じっくりと自分に”投資”をする時間は確保できるのだ。

一方、現状に甘んじ、何も自らの成長を望まなければ、気付かぬうちに”AI未満”の人間になっていることだろう。

アメリカの一部では、すでに自動運転タクシーが走っている。

AIで使用するGPUの設計を行うエヌビディア(NVIDIA)が時価総額世界第一位となったのも記憶に新しい。

AIが私たちの頭脳を凌ぐ「シンギュラリティ」に備えて、順序立てて行動を始めてみよう。

もちろん、今取り組んでいる仕事に関連するスキルでなくとも良い

今の仕事が自分に合っていないと感じるのであれば、転職活動起業という選択肢もある。

最も恐ろしいのは、現状に満足して「何もしない」ことであり、”沈みゆく船”から脱出するタイミングを失うことだ。

「生き残れる人間」になれ

この状況にとてもよく似ているのは、大企業と中小企業の関係だ。

大企業は「AI」、中小企業は「人間」と置き換えてよい。

大企業は、安くて質のよいものを提供する。

これは、大企業が自らの体力を活かして、安く大量に仕入れることができるためだ。

資本力で劣る中小企業にとっては不利な環境ではあるが、それでも生き残っている優良企業は多数ある。

では、そうした優良中小企業に共通している点は何か?

それは、他社にはない強みを活かし、自社の「優位性」を発揮できていることだ。

これはAIが浸透した社会における、生き残れる人間と一緒だ。

人間でしかなし得ない「付加価値」を提供できるかどうか。これからの時代を生きるZ世代の命運を分けるのは、これをいち早く理解し、行動できる人ではないだろうか。